南仏プロヴァンスのブイヤーベース。


先週、2ヵ月半ぶりに英語料理教室に参加してきた。今回の先生は、南フランス、トュールーズ出身のジャック(Jacques)先生。この料理教室唯一の男性の先生だ。ヨーロッパ出身の先生というのも珍しい。

初台駅で待ち合わせをし、古き良き商店街を通り抜ける。すると、先生のご自宅である味のある日本家屋があらわれた。畳敷きのダイニングキッチンでフランス料理というのも乙なもの♪
今回の生徒は8人。木製の調理代を囲んで行う料理教室は、昔の調理実習のようでなんだか懐かしい。

大学でフランス語を教えているというジャック先生は、来日9年ということもあって日本語がとても上手。でも、英語料理教室なので、基本は英語。先生は独特のユーモアがあって、常に笑いが絶えない。ある人がフランス版高田純次と言っていたのもうなずける。あの、つかみどころのないところが特に。(あ、先生、ごめんなさい。)
ジャック先生は実際に先生をしているためか、本当に授業を受けてるみたい。というのは、先生がどんどん料理をすすめるのではなく、生徒にレシピを読ませたり考えさせたりするから、こちらも自然と授業に集中する。“What's next”と聞かれて答えられないと“Read recipe!”と叱られる(もちろん冗談で!)。

ここで、今回のメインディッシュであるブイヤーベースについて。私は家でも時々見よう見真似でブイヤーベースを作ったりするけど、これといったレシピもなく「魚介類と残り野菜のごった煮」状態。でも、実はこんな素敵な起源説があるらしい。


<英語料理教室Niki's Kitchenのホームページより>
ブイヤーベースの起源は古代ギリシアまで遡ります。彼らは紀元前600年にフランス南部マルセーユをギリシア植民地として作りました。 当時はとてもシンプルな魚のスープでギリシア人は「kakavia(カカビア)」と呼んでいました。br> 「美の女神ヴィーナスは夫バルカンをなだめ、眠らせるためにブイヤベースを与えました。その間、恋人である火星の神マースと大はしゃぎして遊ぶことができました。」というようにブイヤベースはギリシア神話の中にも登場します。 プロヴァンスのブイヤーベースは港町マルセーユから伝えられたものです。フランスとイギリスで使われているブイヤベースという言葉はマルセイユの土地の言葉(オック語)で bolhabaissa[ブヤバイサ]からきました。漁師が獲ったばかりの魚をぶつ切りにして煮立て bolhir (to boil) 煮詰める abaissar (to reduce) の造成語だとされています。 作り方は地域によって異なります。マルセーユ地方ではレストランごとに味や違いが異なりすべての人が「自分のブイヤベース」が本物だと主張します。

こんな「美しい料理」を、本場南フランス出身の先生に教えてもらえるなんて、本当にラッキー♪


というわけで(?)、今回のメニューは以下の3品。

・Aubergines a la Provencale〜茄子のプロヴァンス風マリネ

ソテーした茄子を、シェリービネガーとシャロットでマリネしたサラダ。
シェリービネガーというものを初めて知ったのだけれど、ワインビネガーよりまろやかな感じで、ツンとした酸味がなく食べやすく、茄子の旨味が引き立っていた。

・Bouillabaisse〜ブイヤーベース

南仏プロヴァンスのブイヤーベース。たっぷりの野菜、魚の頭や海老などを煮詰めてダシをとった後、あえてそれらの具を濾して取り除き、残ったスープに魚の身、貝、海老などを加えて作る。オレンジの皮が入ることで、一気にプロヴァンスの香りに。ふわぁ〜。
野菜は濾さずに残してもいいらしいけど、濾した方が上品にスープの味を堪能できるかもしれない。
添えているパンには、手作りアイヨリソース(ガーリックマヨネーズ)を塗ってゴーダチーズをふりかけてあり、これがまた美味!ブイヤーベースにひたして食べるとまた格別なおいしさ。

・Tarte Cremeuse a L'Orange〜タルト クレムース ア ロランジュ

クリーミーオレンジタルト。オレンジ果汁たっぷりのカスタードクリームをタルト生地に流して焼いた、何とも爽やかな焼き菓子。タルト生地にはヘーゼルナッツパウダーが練りこんであってとても風味がいい。男性の先生のためか甘さが控えめだったので、食後のデザートとしてもとても食べやすかった。


どの料理も、おしゃれでありながら、どこかホッとする味のフランス家庭料理。
食事はさっぱりとしたロゼワインとともに。デザートはコーヒーをハート型カップで。

おいしく、楽しく、Tres Bien!な一日でした♪


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<ブイヤーベースのレシピ>
材料:新鮮な魚介類
   (以下は今回使用した魚介類)
      金目鯛、マトウ鯛、ホウボウ、エビ、
      ホタテ、ムール貝、はまぐり(先生の発音だと「あまぐり」)
   じゃがいも      12個
   アニス・アルコール 
   トマト         6個
   タマネギ        4個
   長ネギ         2本
   にんにく        8片
   パセリ
   セロリ
   フェンネルシード
   タイム
   ローレル
   カイエンペッパー
   サフラン
   オレンジの皮
   (アイヨリソースの材料)
   ニンニク    6片くらい
   マスタード
   卵黄      1個
   オリーブオイル
   塩コショウ
   チーズ(ゴーダやグリュエールなど)
   

エビの皮をむき、魚の骨、頭を洗う。
ジャック先生作 「木陰でひと休み」&「ホウボウのチュー」

長ネギ、タマネギを刻み、にんにくをつぶす。パセリを刻み、トマトをつぶす。
鍋にオリーブオイルを熱し、長ネギ、タマネギ、にんにく、ローレル、タイム、フェンネルシード、オレンジの皮、こしょうを加える。
材料を炒め、さらにトマトを加えて15分ほど炒める。魚とエビの骨、頭、皮(殻)と塩を加える。
魚の頭をヘラでつぶしながら15分ほど炒め、3リットルの水を加えて30分ほど煮る。途中、丁寧にアクをとる。

鍋を火からおろし、オレンジの皮を取り除く。
材料を少しずつざるにあけ、材料をつぶしながら濾してスープをとる。サフラン、アニスアルコール、塩コショウで味をととのえる。


じゃがいもをスライスし、スープに加えて煮る。
魚とエビの身、ホタテ、ムール貝、はまぐりを加えて弱火で6〜10分煮る。

スープ皿にじゃがいもをよそり、その上に魚介類をよそってスープを注ぐ。

*アイヨリソースのパン
小さなボールに卵黄を入れる。マスタード大さじ1、塩コショウ、細かくつぶし切りしたニンニク、オリーブオイルを加える。マヨネーズ状になるまでよく混ぜ、塩コショウで味をととのえる。
スライスしたパンを焼き、アイヨリソースをぬり、おろしたチーズをふりかける。


パンをブイヤーベースに添えて、できあがり♪ Bon appetit!